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もう20年程昔の事である、場所は中国の吉林省、とある工場を見学したときの話である。 工場の見学を終えて工場長(中国国営企業では社長相当)や幹部と雑談をしていた。そのとき工場長から「Sukesanの話は工場にとって非常にためになる、ついては今から主任クラス以上を集めるから同じ話をしてもらえませんか?」との依頼があった。驚いたが少しでもお役に立つならと引きうけてしまった。 しばらくして、皆が集まったからとお呼び出しが掛かりその部屋に行った。部屋のドアを開けてビックリ、完全に講堂である、聴衆その数300人(少なくとも私にはその位居るように思えた、男女半々位である。)。広さは小さな体育館程だが正面にはひな壇があり、壇上には白いテーブルクロスを敷いたテーブルが横一列に並べてある。テーブルの上にはマイクと水差しセットが置かれてあり、規模は違うが全く北京の党大会ではないか! 一歩講堂に入ると万雷の拍手である、頭の中で一所懸命考えていた英作文?があっという間に吹っ飛んでしまった。日本人の友人一人と、通訳をしてくれる中国の友人と三人がひな壇の中央に案内された。両脇には工場長以下幹部連中がキラボシの如く並んでいる。 もう俎板の上の鯉、水差しの水をコップにそそぎ一口飲んでからやおら話し始めた。水差しというのは少しでも動揺を落ち着かせるための物であるとその時つくづく思った。スピーチの内容は「工場が国際化に対応し発展して行くためには、今何をなすべきか」何んぞと、日本語で書けばまったく穴にでも入りたいようなテーマであった。スピーチは30〜40分位であったが友人の通訳が入るので実際はその半分位である。ガイジンの話を聞くのは皆さん始めてなのか、真剣に聞いてくれている。皆のキラキラとした視線が私に集中しているのがよく判り、いても立ってもいられない気分になってくる。そういえば、後ろの席で一人だけそっぽを向いている奴がいた、ブレイモノめ! 友人が内容以上に上手に通訳してくれたおがげで、万雷の拍手を得て何とか無事に終了した。すると端に座っていた一人の幹部がやおら立ち上がり演説を始めた、集会などでよくやっているアジ演説のスタイルである。口角泡を飛ばすというのであろうか「我々は先生のお話をよく理解し、実行する事によって工場を発展させていかねばならない。それには全員が一丸となって、今から目標に向かい邁進しようではないか!」といったような例の調子である。確かに迫力は有る、なるほどこれが中国式のスピーチか! 一時間ほどのセレーモニー?も無事終え退場する事となった、すると全員が立ちあがりまたまた万雷の拍手である。なんとも面映ゆい。その後も幸か不幸か何回かスピーチする機会があったが、突然だった事も有りこの時ほど強烈な印象を受けた事は無い、今考えても冷や汗モノである。 |
